経済インサイド 海外で多量の金塊を買い付けて日本に密輸し、消費税を不正に逃れて利益を上げる――。そんな犯罪が相次いで摘発された。密輸は最終的に大手商社を経由する形になり、年間600億円超の税金が取り逃がされていた。財務省が不正を見抜いたきっかけは、ある統計の不審な動きだった。 「倉庫から金塊わんさか」 「大手商社の倉庫から、ケツから出てきたような粒状の金塊がわんさか出てきた。見たらすぐに密輸品だってわかるようなやつがね」 記者が財務省関係者から、そんな話を聞かされたのは昨年11月のことだった。 財務省が金の密輸の対策に本腰を入れたのは2016年。その年、金の輸出量は前年比で44%も増えていた。当時の担当者は「国内で金の産出が増えたわけでもない。急増の説明がつかなかった」と振り返る。 金の流通状況を詳しく調べると、買い取り業者から大手商社へ流れている量が極端に多かった。17年11月には密輸の