当館は、わが国のポピュラー・ミュージック研究の草分けのひとりであり、音楽雑誌「ミュージック・マガジン」(1969年創刊)の初代編集長である音楽評論家、中村とうよう氏の所蔵されていた音楽関連コレクションのすべてを、2006年にご寄贈いただきました。その内容には、ジャズ、ポピュラー音楽、民族音楽を含む世界各国のSPレコード、LPレコード、文献、民族音楽など、幅広く網羅されています。 本展では、この中村氏のコレクションを通して、音とヴィジュアルが交差する新たな魅力を、美大ならではの視点で伝えたいと思います。特にLPレコードのジャケットは、1950年代から70年代にかけて、グラフィック・デザイナーたちが競って個性的なデザインを展開した表現の場でもありました。また、それに先行したSPレコードは、今では文化財として後世に伝えるべき音楽メディアの原点です。それらのレコードを聞くために作り出された蓄音機(