「でんいん(全員)」、という言葉の響きが懐かしかった。 関西地区以外にお住まいの皆さんは、関西弁といったら全部おんなじようなもんだと考えてるかもしれない。だが、関西弁という大枠の中にあっても、大阪、神戸、京都など地域によって当然ながら違いはある。神戸弁は地理的に播州やら岡山やらの影響があるのか、大阪弁なら「~しとる」となる語尾が「~しとう」になるし、京都弁はやっぱり「はんなり」してる。広い意味の大阪弁だって、船場ことばと河内弁とでは違う。 といっても、フクトミも関西在住20年になるとはいえネイティヴではないので、いまだエセ関西弁しかしゃべれない。文字に起こせば関西弁でも、ネイティヴが聞けばアクセントが違うのだ。 地域によって異なる関西弁でも、特異なのが和歌山弁(紀州弁)である。まず、敬語がない(笑)。これは日本語のなかではかなりレアなことで、確か司馬遼太郎は『街道をゆく』で、「海と山で分断