じぶんたちをじぶんたちで統治するため、わたしたちはデモクラシーという社会のルール/手続きを採用している。政府・国家の暴走を憲法によって規制し、少数の為政者ではなく総体としての国民が統治者として“君臨”するのがデモクラシーの本義。だが、産業が発展し、複雑化の一途をたどり、膨大な人口をかかえる大社会(Great Society)において、公衆(Public)はホンマに“統治者”たりうるだろうか。そんな根源的な問いを、W.リップマンは1920年代に立てていた。『世論』に続いて出版された“The Pnantom Public”は公衆への幻滅を説く。修論執筆時は原著をちょびちょび拾い読みしただけだが、同志社の河崎さんの訳を読み、あらためて考えさせられた。 リップマン,ウォルター(1927=2007)『幻の公衆』河崎吉紀訳、柏書房 Lippmann, Walter (1927) "The Phanto