自分がこんなにも、戦前の人々の思いや、暮らしぶりといったものに拘るようになったのは何故だろう。 幼い頃から、明治生まれの母方の祖母と同居し、両親以上に親しい存在だったことがまず大きいと思う。 加えて、個人の自由や平等というものが絶対の正義のように喧伝される割に、力のないもののそれは当たり前に軽視されることを、腕力や人望に決して恵まれていなかった田舎の子供の頃から、骨身に沁みていたということもある。 ただ、こうした世の中の二枚舌を欺瞞と感じ、ムキになる自分と違い、祖父母の世代は、そうした物ごとの根本を掘り下げたり、直に向き合ったりということを決してしよしとせず、むしろ意識に上らせること自体を避けて、万事「これでよかったのだ」と無言のうちに納得するかのように、静かに暮らしている。 そうした彼らの在り方は、まるで権利を主張したがる自分を、無言のうちに「はしたない」と言われているようで息苦しくもあ