福島第一原子力発電所の事故対応では、東京電力の危機管理能力のなさが露呈した。なぜこうした事態に至ったのか? 大震災直後から説得力のある鋭い分析が注目され、講演を収録した映像がYouTubeに流れるや累計190万アクセスという大反響を呼んでいる大前研一氏が、詳細に検証する。 * * * 東電の危機管理能力がここまで低下した1つの原因は、旧自民党政権との「癒着構造」である。 旧自民党政権は、東電をはじめとする電力会社を景気対策の道具に使ってきた。たとえば、景気対策であと2000億円必要だとなると、予算を組まずに東電や関電などを呼びつけ、2000億円分の設備投資を要求する。電力会社はそれに従い、不要不急のハコものを造る。そういうことを繰り返してきたのである。 そして景気対策に協力する見返りとして、電力会社に対する政府の監督の目は甘くなった。世界標準の2倍くらいの電気料金を認め、原発の安全審査を厳
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