老いの性愛、法皇の執念 渡辺淳一が新刊「天上紅蓮」2011年7月29日渡辺淳一=郭允撮影著者:渡辺 淳一 出版社:文藝春秋 価格:¥ 1,680 ■晩年描く文学に「まだまだ可能性」 権力の絶頂にある白河法皇と48歳年下の藤原璋子(たまこ)(のちの待賢門院)の愛を描いた渡辺淳一(77)の『天上紅蓮(ぐれん)』(文芸春秋)が刊行された。自らの老いの実感を重ねた作品で、許されないものがない法皇のふるまいからは、高齢者の性愛の可能性を考えさせられる。 作品のなかで法皇と璋子が最初に関係を結ぶのは、それぞれ62歳と14歳のとき。「自分のことを振り返っても、62歳は燃えさかっている。若い世代には見せていないだけです。璋子という対象を得て、持てる力をすべて使って法皇が何をするのか。自分の生の有限性を意識するからこそ、男の一途な愛は執念となる」 法皇は璋子を皇后にするため、自分の孫にあたる鳥羽天皇に璋子