(写真:翁木の黄昏) 《厨房の妖精》 子供の頃に読んだ話なので、正確な題名は覚えていません。 「不思議な舌」だったか、「不思議なレストラン」だったかも知れません。 かっては美味しいと評判で大繁盛したレストランと、その後継ぎ息子。しかし、残念ながら、全くの味オンチで、オムライスを作らせても、ステーキを焼かせても、焦げ焦げのフニャフニャで、すっかり客足が遠のいています。 これでは、店を閉めるしかないと落ち込む息子の前に、老人の小人が現れます。 「ワシはこのレストランに住みついている妖精じゃ。」 そして、驚く息子に妖精は続けます。 「ワシは、お前にオヤジさんの遺言を伝えるために現れたのじゃ。 実は、このレストランの地下には、オヤジさんが一生の間研究したいろんなジャムやレシピがたくさん保管されておる。そして、オヤジさんは、それをお前に引き継いで欲しいと願っておったのじゃ。」 「そんなの無理だ。僕は