イスラエルのエルダン国連大使は10日、国連総会の壇上でパレスチナの加盟を支持する決議案に反対する意思を示すため、小型のシュレッダーを使って国連憲章を細断した。国連の基本文書である国連憲章は、「国際の平和と安全を維持する」など設立の理念や加盟国の権利などを定めている。 エルダン氏は決議案の投票に先駆けた演説で、各国の大使らに向かって「あなたたちは現代のナチズムに国連を開放した」「(イスラム組織)ハマスによる将来のテロ国家に特権を与えようとしている」などと批判した。最後に携帯用のシュレッダーを持ち出して国連憲章の表紙を切り刻むと、「恥を知れ」と吐き捨てるように言って壇上を後にした。 国連のハク副報道官は同日、加盟国大使による個別の言動にはコメントしないとしつつ、「今も昔も加盟国による芝居がかったプレゼンテーションはあった」と言及。国連憲章の冊子を手に取り、「国連憲章の理想は無傷だ。この組織が存
米地質調査所(USGS)によると、東部ニュージャージー州で5日午前10時20分(日本時間5日午後11時20分)ごろ、マグニチュード(M)4・8の地震があった。ニューヨーク市を含む東部から北東部にかけて揺れが観測され、CNNなど主要放送局は現地からの中継で速報を流した。地震の発生自体が珍しく、米メディアによると、周辺地域で観測された地震としては過去140年で最大規模という。 現地時間の5日夕時点で大きな被害は報告されていない。震源から約70キロ離れたニューヨーク市在住のクレア・ガルシアさん(23)は「家の洗濯機がガタガタ揺れたと思ったら地震だった。普段慣れていないからびっくりした」と話した。 市中心部マンハッタンにある国連本部で行われていた安全保障理事会では、パレスチナ自治区ガザ地区の情勢をめぐる演説が中断され、時間を置いて携帯電話から警報が何度も鳴り響いた。米メディアの記者は揺れについて「
米ニューヨーク市のアルバート・アインシュタイン医科大学は、ルース・ゴッテスマン理事長(93)から大学に10億ドル(約1500億円)の寄付を受けたと発表した。全学生を対象とした授業料の無償化に充てられる。米国の医学教育機関への寄付額としては、過去最高規模という。同大は「我が校の学生はもう二度と授業料を支払う必要がなくなる」としている。巨額の寄付金の運用によって、将来にわたって無償化を続けるものとみられる。 ゴッテスマン氏は同大の名誉教授でもある。1968年に小児科医として大学で勤務を始め、学習障害などについて長く研究を続けた。2022年に96歳で死去した夫のデービッド氏が、米著名投資家のウォーレン・バフェット氏率いる投資会社へ早い段階から投資し、莫大(ばくだい)な富を築いたという。夫妻はこれまでも医学分野の慈善事業に携わってきた。 毎年100人超が入学する同大の授業料は、1人当たり年額5万9
20日午後3時45分ごろ、神奈川県逗子市沼間5の路上で犬を散歩させていた男性から「道路にウサギがいたので保護した」と逗子署に通報があった。付近ではその後も同様の通報や情報提供が相次ぎ、署は27日までに合わせて約30羽のウサギを一時保護した。何者かが遺棄したとみて動物愛護法違反の疑いで調べている。 署などによると、保護したウサギは耳の形状から同種とみられる。近くで「サバイバルゲームフィールド GARDEN―Z」を運営する山村利一さん(60)は23日に敷地外の道路で複数のウサギを見かけ、一時保護した。「たまに野ウサギは見かけるが、今回はウサギが湧いて出てくるほどだった。かわいいウサギを遺棄したとしたら許せない」と憤った。【柿崎誠、宮本麻由】
北海道の夜空を彩るオーロラ=北海道美幌町で2023年12月1日午後8時半ごろ、プラネタリウム映像クリエーターのKAGAYAさん撮影 北海道美幌町などで1日夜、赤いオーロラが観測された。肉眼でも見えるほどの鮮やかさで、北の夜空を幻想的に染めた。 日本時間11月29日午前に太陽の表面で発生したフレア(爆発)の影響とみられる。太陽から放出されたプラズマが約2日半かけて地球に到達し、地磁気と衝突。磁気嵐を発生させるとともに、大気とぶつかって上空で発光現象を起こした。 オーロラは緑色のイメージがあるが、国立極地研究所の片岡龍峰准教授(宇宙空間物理学)によると、オーロラの高い部分に当たる高度約250~400キロは赤い。北海道のような低緯度の地域からは、水平線上にその高い部分だけが見えるため、赤いオーロラになるという。 片岡准教授は「北海道でオーロラが肉眼で見えるのは珍しい。磁気嵐の規模は決して大きくな
噴火から10年となる西之島。断続的な火山活動で島は大きく成長した。周囲に他の島はなく大海原が広がっている=東京都小笠原村で2023年10月30日午前9時43分、本社機「希望」から手塚耕一郎撮影 小笠原諸島・西之島は、一番近い陸地まで130キロも離れている絶海の孤島だ。人間や他の島の影響を受けず、島の生態系の移り変わりをリアルタイムで検証できる世界で唯一の場所とされる。この10年繰り返す噴火で、西之島の動植物はどう変わってきたのか。 爆発的噴火で生態系「リセット」 「本当に(変化の)予想がつかない島だ。何が起こってもおかしくない」。森林総合研究所の川上和人・鳥獣生態研究室長(鳥類学)は今年9月、環境省の調査に参加した際に目の当たりにした西之島の様子に驚きを隠さない。海鳥やその巣が激減していたのだ。 東京の南約930キロ、海鳥の繁殖地として知られていた西之島の近くでは2013年11月、火山噴火
来年の米大統領選まであと1年に迫る。トランプ前米大統領は、2020年の大統領選の敗北を覆そうとしたなどとして、四つの刑事事件で起訴された。そのトランプ氏が大統領に返り咲くことに法的な問題はないのか。元司法次官補代理(公民権問題担当)で、バイデン政権で22年までホワイトハウスの上級政策顧問(民主主義、投票権)も務めたロヨラ・メリーマウント大学ロヨラ法科大学院のジャスティン・レビット教授(憲法学)に聞いた。【聞き手・ワシントン秋山信一】 過去には刑務所から立候補も 米国では政治制度と刑事司法制度は切り離されている。憲法に明記された大統領の資格は「米国生まれ」「35歳以上」「14年以上の米国内居住」の三つだけで、刑事事件で有罪になれば候補資格を失うといった規定はない。憲法は有権者の判断に委ねているということだが、憲法起草者が「刑事事件で有罪になるような人物が大統領に選ばれるチャンスはない」と考え
秋田県の佐竹敬久知事が「貧乏くさい」と酷評した愛媛県の特産品「じゃこ天」。失言をきっかけに秋田県からの注文が殺到し、売り上げが伸びているという。【宮城裕也】 注文の6割は秋田から 「メインディッシュがいいステーキだと思って開けたら、じゃこ天です。貧乏くさい」。佐竹知事は全国知事会で訪れた四国地方の料理について23日にこう発言し、謝罪に追い込まれた。 一方、愛媛県宇和島市のかまぼこ製造販売会社「安岡蒲鉾(かまぼこ)」では「貧乏発言」以降、売り上げは騒動前の週と比べ1・5倍に。注文の6割は秋田県からで、秋田市内の食品店からは「うちの店で取り扱いたい」との申し出もあったという。 「うちの知事が大変失礼しました」「不愉快な思いをさせてしまい、すみません」。発注者の中には、知事の失言をわびる人や「秋田の酒でじゃこ天をいただきたいと思います」と特産品のコラボを楽しもうとする人もいた。 同社3代目の安岡
近畿大は26日、ニホンウナギの完全養殖に成功したと発表した。完全養殖は、卵から育てたウナギの卵と精子を使って2世代目を人工ふ化させる技術で、水産研究・教育機構(旧水産総合研究センター)が2010年に世界で初めて成功させた。大学では初の成果という。 近大によると、和歌山県那智勝浦町にある水産研究所の実験場で7月5日、養殖した親ウナギから受精卵を採取し、同6日にふ化に成功。8月3、24日にもふ化を確認した。今月18日時点で計約600匹の仔魚(しぎょ)(赤ちゃん)が育っているという。 近大はこれまでクロマグロやマダイなどの養殖技術開発に取り組んできた。東京都内で記者会見した升間主計・水産研究所長は「仔魚を育てる独自技術の開発にもトライし、養殖技術全体のレベルアップに貢献したい」と語った。
中国のインターネット検閲システムをVPN(仮想プライベートネットワーク)で違法に「壁越え」をしたなどとして、河北省承徳市の公安当局が、同市在住のプログラマーの男性に対し約3年間の所得105万元(約2100万円)の没収を命じる処分を言い渡し、中国内で物議を醸している。「行き過ぎだ」と所得没収への批判が強く、背景に地方政府の財政難があるのではとの疑念を示す声も出ている。 香港メディアなどによると、この男性は2019年9月から22年11月までの間、世界中の誰もが利用できるソフト開発共有サイト「GitHub」などを活用しながら、海外のソフトウエア会社から受注したプログラミング業務に従事。地元の公安当局は、中国政府が認めていないVPNを使い海外サイトに接続したとして200元(約4000円)の罰金に加え、不当な所得だとして3年余りの収入105万元の没収を命じたという。 国家の安全と社会の安定を最優先と
警察庁は30日、小型の「ウエアラブルカメラ」を地域警察官らが装着するモデル事業を2024年度に実施すると発表した。職務質問の対応が適切だったかを事後的に確認できるようにすることなどが狙い。比較的規模の大きな都道府県警で先行実施し、効果を検証した上で本格導入を検討する。24年度予算の概算要求に関連経費約1500万円を盛り込んだ。 警察庁によると、ウエアラブルカメラは計102式を購入予定で、内訳は地域65式▽雑踏警備など19式▽交通18式。雑踏警備では、多くの人が行き来する状況を撮影して別の場所でリアルタイムに監視する。交通では、撮影した違反の状況を運転者に示すことなどを想定。交通違反の取り締まりは警察官の現認が原則だが、それを補完する役割が期待される。
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