裸体にバスタオルを巻いただけの3人の女性が、男性を取り囲む。優しげな微笑みを浮かべながら、石けんの泡で男性の体を洗っていく彼女たち。すると、監督が動いた。小型のホワイトボードに何かを書き込み、カメラの死角から女性たちにかざす。視界の片隅でそれを認めた彼女たちは、一切自然体を崩すことなく、行為をエスカレートさせていった――。 通常のアダルト作品の撮影現場と異なり、カメラマンの姿がない。その代わり、男性の顔の前には360度まで撮影可能なパノラマカメラが三脚で固定されている。ここはアダルトコンテンツメーカー・SODクリエイトのVR作品の撮影現場。VRとはゴーグルの内側に映像を写しだすことで仮想現実を体験できる仕組みのことだ。 今年2016年は「VR元年」と呼ばれ、さまざまな企業が目まぐるしい勢いでVRコンテンツに着手している。映画、ゲーム、教育、観光とその裾野は極めて広く、もちろんアダルト業界に