自然エネルギーに関する「総理・国民オープン対話」に臨む菅直人首相=首相官邸で2011年6月19日、梅村直承撮影 ◇持つべき羅針盤は誠意と戦略 原子力発電所をめぐるこの4カ月の経過は、羅針盤なき航海のようだ。東京電力の説明は二転三転して不信感を抱かせ、政府の対応は行き当たりばったりで関係者を右往左往させ、九州電力からは「やらせメール」問題が飛び出す……。こうした危機管理がうまくいかない原因は、判断する際の物差しがしっかりとしていないからだ。これから、事故収束・再出発へ向け重大な時期に入る。組織も個人も、しっかりと羅針盤を据え付け直す必要があると思う。 「11歳の長男が『福島県にいる子どもは、どうせ実験材料なんでしょ?』って言うんです」。若い同僚は、同県内で開かれた放射線に関する説明会の取材で、ある母親の言葉に絶句してしまったという。こんな不幸な事態を一刻も早く適切に収束させるためにどうすれば