【ニュースの核心】 埼玉県加須市の旧北川辺町に隣接する栃木県栃木市藤岡町下宮地区。渡良瀬遊水池の堤防や県道で栃木側とは分断され、事実上の“飛び地”となった広さ約4・2ヘクタール、人口約30人の小さな地域だ。この地域で最近、加須市への編入を求める住民の声が高まっている。地区が栃木側から孤立してすでに約90年がたつが、なぜ編入問題が急浮上したのか。その背景や現状を探った。(木村庄一) 栃木市などによると、下宮地区は明治39(1906)年、栃木県の旧谷中村が渡良瀬遊水池の設置に伴って強制廃村され、その後、村民の一部などが移住した地域。大正7(1918)年に遊水池を囲む堤防が整備されてからは栃木側から孤立、事実上の飛び地となった。 現在、下宮地区には12世帯34人が居住。ごみは栃木市が回収するが、中学生は加須市に通学し、上水道も加須市が供給している。 編入問題は、昨年10月、住民が合併前の