2010年07月29日21:56 カテゴリ本経済 人々はなぜグローバル経済の本質を見誤るのか 内閣府官房審議官に起用されることになった水野和夫氏の代表作(2007年)。小野理論や神野理論とはまったく違う、ウォーラーステインの歴史理論にもとづいて超長期のグローバルな視野から日本経済を見るものだ。 現代日本の直面する問題は、17世紀以来の「長い近代」が終わり、主権国家にもとづく近代世界システムが終焉を迎えていることにある。特に新興国が低賃金によって先進国の製造業を駆逐し、それによる過剰貯蓄をアメリカが吸収して集中的に運用するグローバル不均衡が、世界経済の不安定要因だ――という本書の指摘は、2008年の金融危機によって実証された。 「デフレ」といわれているのも、本質的にはこうしたグローバル化による相対価格の変化である。サービスの価格が上がる一方、工業製品の価格は大きく低下しており、90年代以降、
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