ハクトウワシの鳴き声を聞いた時点で、野生動物写真家ケビン・エビ氏には、これから何が起きようとしているのか、はっきりとわかった。 エビ氏は何年もかけて、米国の太平洋岸北西部で野生動物を撮影してきた。写真集「ワシの一年」を作った際には、ハクトウワシについての豊富な知識と経験を身につけた。だが、米ワシントン州サンフアン島国立歴史公園を訪れた5月19日、同氏が撮りたかったのはキツネだった。サンフアンではこの時期、子ギツネが頻繁に見られる。(参考記事:「素顔のハクトウワシ」) その日の夕方近く、1匹の子ギツネが、捕まえたばかりのウサギを口からぶら下げ、野原を駆けていた。 そこへ、若いハクトウワシが突然急降下し、ウサギをつかんでキツネごと空中へさらった。 「ハクトウワシはキツネを脅かして、獲物を離させようとしていると思いました」とエビ氏。キツネは数秒間、ウサギをしっかりとくわえて離さなかったが、その後