65歳以上の人口の割合が全人口の21%以上を占める「超高齢社会」に突入した日本。当然のことながら、介護を必要とする「要介護高齢者」の数も増加し、誰もが「介護」と無縁でいられない時代になったといっても過言ではない。 そんな介護の厳しい現実について、赤裸々かつ哀愁を交えて描かれた一冊が科学ジャーナリストの松浦晋也氏による『母さん、ごめん。 50代独身男の介護奮闘記』(日経BP社)だ。論理的な世界で働き続けてきた筆者は、親の介護にどのように向き合ったのだろうか。同書の一部を抜粋し、紹介する。(全2回の2回目/前編を読む) ◆◆◆ 果てなき介護に疲れ、ついに母に手を上げた日 衰える足腰、量が増える失禁、度重なるトイレでの排便の失敗─老衰とアルツハイマー病の両方の進行により、2016年の秋の母は弱り、ますます介護に手間がかかるようになっていった。10月に入ると、これらに加えて過食も再発した。 いつも