「電車にひかれる」「高所から転落する」。東日本旅客鉄道(JR東日本)は、こんな「あり得ない」体験を通して、従業員に安全意識を徹底させている。活用するのはもちろんVR(バーチャルリアリティー、仮想現実)だ。 2017年3月、大井町駅に隣接する東京総合車両センター(東京・品川)で、スマートフォンのディスプレーをヘッド・マウント・ディスプレー(HMD)に変えるゴーグル型デバイスである韓国サムスン電子の「Gear VR」を20セット導入。1年かけて約1200人の従業員に事故を疑似体験させる計画だ。VR教育ツールはソフトバンクが納入した。 マネキンの事故映像より断然リアル 記者がHMDを着けると、近づいて来る電車の映像が流れた。低速で進む車両は、少し離れているうちは危機感がない。だが、あっと言う間に近づいて来てぶつかってしまった。 東京総合車両センター総務科の岩原照実科長は「交通安全啓発ビデオなどで