自分の子どもが性犯罪の被害に遭い、その加害者が、自分の夫だったと分かった時のショックは計り知れない。妻としては、子どもを連れて離婚するという選択肢が現実味を帯びてくる局面だ。 とはいえ、夫が一家の経済的な支えとなっている場合、なかなかそれも難しい。別れを選択しない妻も、これまで法廷で見てきた。そしてこの事件でも、妻は夫との別れを選択することなく、共に生きる道を選んだ。住宅ローンのためだった。(ライター・高橋ユキ) ●妻の出勤中に被害 被告人は今年4月、当時5歳だった実の娘に口淫をさせ、その様子を動画撮影したほか、昨年10月、11歳の女児に乳房や陰部を撮影させそれを送信させたという児童ポルノ禁止法違反、強制性交等、児童福祉法違反の罪に問われていた。 東京地裁立川支部で公判が開かれていたのは今年の秋。法廷前に貼られている開廷表に、被告人の氏名は掲載されていない。被告人の名が明らかになることで被