また東京出張。 多田塾研修会にプラス仕事が三つ。 研修会で多田先生と呼吸合わせをしているうちに「ミラーニューロン」が活性化してくる。 この訓練法が脳科学的に意味することが何となくわかってくる。 他者の体感との同調と、私自身の他者化である。 「他者の体感との同調」というのはご理解いただけるであろうが、「私自身の他者化」というのは聞き慣れない言葉である。 それをご説明しよう。 鏡像段階というのはラカンの有名な理説である。 人間の子どもはある時期鏡につよい関心を持つ。 もちろん子どもには鏡像という概念がないから、そこに映っているものが何であるかわからない。 けれども鏡の前で手足を動かしているうちに、自分の手足と鏡像がシンクロしていることに気づく。 どうして「シンクロしている」ことがわかるのか。 これはミラーニューロンの働きで説明ができる。 つまり、「何か」が動くのを見ていると、見ている人間の脳の
九州大学のリベラル・アーツ講座の 際にも質問があったが、 創造性において大事な「起源に さかのぼる」ということは、 必ずしも、その過去の時点において その起源が意識されているという 意味ではない。 創造は、多くの場合、巧みなる 隠蔽である。 何か直視できないものが ある時に、 それをダイレクトに見なくても済むように 「ねつ造」が行われる。 しかし、その「ねつ造」は 創造者本人によって意識されている わけでは必ずしもなく、 むしろ、創造者本人にとっては 多くの場合 無意識の衝動の下に行われること であり、 しかしだからこそ 生の現場において力を持つ。 だから、過去は「発見」 されなければならないのだ。 昨日、風邪を引きそうだったので 薬を買って飲むとき、 錠剤にするか、それとも 顆粒にするかと考えた。 苦そうだったから顆粒はやめたが、 それで、子どもの時錠剤が 飲み込めなくて苦労したことを
以前は人に勧められた本をよく読んだし、そうしたことで自分の視野の狭さを知るきっかけとなったものだが、いつからかそういうことが減ってきた。本書「〈つまずき〉のなかの哲学」(参照)は、久しぶりにそうした契機で読んだものだ。一読して、なるほどな、私に勧めたくなる本だな、ということがよくわかった(ありがとう)。「私」とは何か、人生とは何か、そういうものに私は今四十九歳までぶつかり続けた。これからもそうだろうが。 筆者山内志朗については私は知らなかったが一九五七年生まれとのことで私と同年である。もしかしたら過去のネット世界のどこかでハンドルとハンドルで遭遇していたかもしれないと思った。 本書は率直に言うと私には読みにくい本だった。理由は私にある。私が思考の柔軟性を失いつつあり、哲学書に対してまず哲学史的な特定の枠組みを求めてしまうことと、また、本書で多く言及されているヴィトゲンシュタインについて顕著
2007年02月16日14:00 カテゴリ書評/画評/品評 書評 - 田宮模型の仕事 すみません。リチャード・クーと聞いて、私が思い出すのはこちらの方なのです。 田宮模型の仕事 田宮俊作 インターネット学部:弾さんはひょっとしてリチャードクーを知らないのか? - livedoor Blog(ブログ)弾さんほどの知的な方なら、リチャード・クーが提唱している「バランスシート不況」くらい知っていると思っていました。 これの解説を書いているのが、リチャード・クーその人です。 本書「田宮模型の仕事」は、タイトルどおり、株式会社タミヤの社長である田宮俊作その人が、タミヤについて書いた本。リチャード・クーでなくとも著者に惚れる一冊です。 目次 第1章 木製模型との幸せな出会い 第2章 泣く泣くプラモデル製作に転向する 第3章 プラモデルは金型が命 第4章 取材こそ模型づくりの基本 第5章 とことんやるの
かなり前のことですが、NHKラジオで朗読の時間という番組がすべての放送の終わる直前にあり、よく聴いていたものです。今でも思い出すのが、宮沢賢治の「月夜のけだもの」でアナウンサーが「へびのめのかさ」と言ったことです。コレは「蛇の目の傘」を読み間違ったのでしょう。そうそう最近も、といっても3ヶ月ほど前になるでしょうか、気象予報の終わる直前に、アナウンサーがすっかり安心してしまって、うっかりスイッチを切らないまま、素っ頓狂な奇声を発してしまったのを聴きました。その翌日の気象予報の終りに、当のアナウンサーがお詫びをしていました。これには二日連続で、大いに笑わせていただきました。それはさておき、今でも忘れがたいのは「夢酔独言」です。当時ナレーションでよく耳にした、中年の落ち着いた渋い声の持ち主によって語られました。 一頃坂口安吾の熱心な読者だった私は当然「夢酔独言」について知っていたのですが、内容に
寒山拾得(森鴎外) 唐の貞觀の頃だと云ふから、西洋は七世紀の初日本は年號と云ふもののやつと出來掛かつた時である。閭丘胤と云ふ官吏がゐたさうである。尤もそんな人はゐなかつたらしいと云ふ人もある。なぜかと云ふと、閭は台州の主簿になつてゐたと言ひ傳へられてゐるのに、新舊の唐書に傳が見えない。主簿と云へば、刺史とか太守とか云ふと同じ官である。支那全國が道に分れ、道が州又は郡分れ、それが縣に分れ、縣の下に郷があり郷の下に里がある。州には刺史と云ひ、郡には太守と云ふ。一體日本で縣より小さいものに郡の名を附けてゐるのは不都合だと、吉田東伍さんなんぞは不服を唱へてゐる。閭が果たして台州の主簿であつたとすると日本の府縣知事位の官吏である。さうして見ると、唐書の列傳に出てゐる筈だと云ふのである。しかし閭がゐなくては話が成り立たぬから、兎も角もゐたことにして置くのである。 さて閭が台州に著任してから三日目にな
唐(とう)の貞観(じょうがん)のころだというから、西洋は七世紀の初め日本は年号というもののやっと出来かかったときである。閭丘胤(りょきゅういん)という官吏がいたそうである。もっともそんな人はいなかったらしいと言う人もある。なぜかと言うと、閭は台州の主簿になっていたと言い伝えられているのに、新旧の唐書に伝が見えない。主簿といえば、刺史(しし)とか太守とかいうと同じ官である。支那全国が道に分れ、道が州または郡に分れ、それが県に分れ、県の下に郷があり郷の下に里がある。州には刺史といい、郡には太守という。一体日本で県より小さいものに郡の名をつけているのは不都合だと、吉田東伍さんなんぞは不服を唱えている。閭がはたして台州の主簿であったとすると日本の府県知事くらいの官吏である。そうしてみると、唐書の列伝に出ているはずだというのである。しかし閭がいなくては話が成り立たぬから、ともかくもいたことにしておく
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朝からばりばりと原稿書き。 『中央公論』の「日本人の社会と心理を読み解くための20冊」と『大学ランキング』の「大学のブランド力とは何か?」を書き上げて送稿。 「日本の社会と心理を知るための20冊」に私が挙げたのは、「日本とはこれこれこういう社会であり、日本人はこういう心理構造の生き物である」ということを客観的=中立的立場(などというものがありうるのだろうか)から論じたものではない。 「日本人って、何なんだろう・・・」ということを自身の基礎づけの問題としてとらえた人々、その人自身が「日本人らしさ」の原点として帰趨的に参照される人々の本と日本人論を語る人が読まずにはすませることのできない不可欠のレフェランスあわせて20冊。 私が選んだのは、成島柳北『柳橋新誌』、勝小吉『夢酔独言』、勝海舟『氷川清話』、中江兆民『兆民先生伝』、森鴎外『寒山拾得』、夏目漱石『吾輩は猫である』、永井荷風『断腸亭日乗』
2005年10月19日17:42 カテゴリ書評/画評/品評Psychoengineering 即読法 私の読書法に関しては、すでに何度か質問が来ている。いい機会なのでそろそろ答えておこうと思う。 「逆」読書法 日下 公人 Sound Like Syntactic Sugar, Y'know?-かつての教え子さんのコメント昔予備校で教えていただきありがとうございました。年の近いダンさんに教えていただくということで緊張感を持って出席できました。親の転勤で急に受けられなくなってしまい心残りでした。ダンさん、速読について教えていただけませんでしょうか?よろしくお願いします。お礼なら月謝を出してくれたご両親に:)。私からもお礼お伝え下さい。 それはさておき、本題(わ、偶発的親父ギャグになってる)だが、申し訳ないことに予備校や塾で教えられるほどに、私は読書法を教えられるほどには知らないというのが率直な
2006年09月29日12:30 カテゴリ書評/画評/品評 ネット時代にも先生は「えらい」ままでいられるか? 梅田さんのこのentryを読んで思い起こしたのが本書だった。 先生はえらい 内田樹 My Life Between Silicon Valley and Japan - UCバークレイの授業が無料でGoogle Videoに!!!でも高等教育のオープンアクセスという大きな流れに変化はなく、未来はきっと、世界中の誰でもが、勉強したいと思えば世界最高の教育に無償でアクセスできるようになる時代が来る。世界中の図書館の本をスキャンし、有史以来の知へのアクセスを世界中の人に開こうとするグーグル・ブックサーチのプロジェクトも含め、これからが本当に楽しみだ。本書「先生はえらい」は、内田樹が「先生」、というより「師匠」とはなにかを、中学生でもわかる言葉で書いた本である。現時点では数ある内田本の中で
2007年02月15日16:00 カテゴリ書評/画評/品評Math 書評 - 幾何学基礎論 ちくまと岩波の両文庫で20世紀の原典が読めるようになったのは素晴らしい。のだが、難易度がマチマチな点は要注意。 幾何学基礎論 D. Hilbert / 中村幸四郎訳 ちくま学芸文庫 Math & Science: ホットコーナーの舞台裏 著名人が書いた本が日本語で読めるといえば、筑摩書房がちくま学芸文庫に 理系のものを入れるようになりました。Math & Science創刊といって、その第 一弾が出てまして、おれ、次の2つはソッコーで買いました。 その意味で、ちくまが難易度において両極端な二冊を出したのは面白い。 うち、ヒルベルトの「幾何学基礎論」は、そのまま中学の教科書に使えるのではないかというぐらい平易で、「本物に教えてもらう」快感を「ふつうの人」でも存分に味わうことができる。啓蒙書にある「解説
千年以上続く会社は、ここ日本にあった! 日本には創業100年を超える会社が、10万社以上ある。驚くことに、日本以外のアジアの国々ではほぼ例がない。なぜ日本にこれだけ老舗の企業が生き残ったのか? 大宅賞作家・野村進がめぐる、老舗企業の旅。 なぜ日本にだけ老舗企業が生き残るのか?屈指のジャーナリスト・野村進がものづくりの現場を徹底取材! 技術屋集団に刻み込まれた老舗製造業ものづくりの心―。福田金属「コア・ミッションから離れてはいけない」/勇心酒造「不義にして富まず」/「セラリカNODA「私欲起こせば家を破壊する」/カタニ産業「伝統は、確信の連続」/浅香工業「良品声なくして人を呼ぶ」/林原「独創は組み合せの妙から生まれる」/金剛組「世界最古の企業を存続させるための秘策」…計20社の老舗製造業を徹底取材! 本書のテーマ【老舗製造業】会社の寿命は何で決まるか?潰れない会社の持続力の源を探る ▼老舗は
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