高橋一生が見せた恐るべき芸当。現実世界の“いたたまれない不条理”を投影した野田秀樹の新作『兎、波を走る』レビュー 6月から上演されていた野田秀樹が率いるNODA・MAPの第26回公演『兎、波を走る』が、8月27日に福岡・博多座の公演で千秋楽を迎えた。 野田秀樹は本公演が始まる前に、「『なんともいたたまれない不条理』を感じとっていただければと切に願う」という直筆メッセージを寄せていた。 そして、東京公演で『兎、波を走る』を観劇したライターの折田侑駿は、主演の高橋一生の演技に“フィクションとリアルをつなぐ”すごみを感じたという──。 ※この記事は舞台『兎、波を走る』の結末までの内容を踏まえて書かれたものです。未見の方はご注意ください。 NODA・MAP新作のモチーフとは ひとりの少女の目の前を、1羽の兎が時計を気にしながら駆け抜けていく──これはルイス・キャロルによる『不思議の国のアリス』の冒
