演説上手といわれる野田佳彦新首相、本当にうまいか。国民の心をつかめたかどうかが肝心だ。 戦後の首相33人、いろいろな演説があった。30年も前になるが、麻生太郎元首相に祖父のワンマン宰相、吉田茂のスピーチについて聞いたことがある。当時、麻生は衆院当選2回、40歳だったが、言下にこう答えた。 「ああ、もうへただね。彼は政治家じゃない。たとえばね、総理大臣の所信表明、普通あらかじめ読むわけよ。彼は読まないんだから。本番でところどころ詰まったり、その程度なんだ。 演説の重要性とかいうことに対しては(認識が)なかったと思いますね。まあ、佐藤栄作さんにしても吉田にしても、役人あがりの人は演説で選挙の票をかせがなければ、ということはないし」 そう言われれば、官僚出身の首相は、おしなべてうまくない。官僚出でも池田勇人、中曽根康弘らは聞かせたが、戦後は戦前にくらべると不作である。 とはいえ、首相の初の所信表