ソニーの構造改革を陣頭指揮してきた大根田伸行副社長兼最高財務責任者(CFO)が株主総会をもって退任した。テレビ事業が慢性的な赤字で、昨年誕生した新経営チームは電機部門でアセットライト(資産の軽量化)を断行。CFOの視点で一連の改革をどのように評価しているのか。今だから話せる決断の背景と、復活への期待を明かした。 ―2005年6月のCFO就任直後に業績の下方修正に追われました。 「少し状況がおかしくなり始め、体質を強化しないといけないと思った。CFOになる前から構造改革に携わっており、強い新商品・ビジネスをサポートするのが私の仕事だと認識していた。現在の構造改革も03―05年度の『トランスフォーメーション60』と基本的な目の付け所は変わっていない。一番苦しかったのは08年で、夜寝られないのが当たり前だった。売り上げが落ちて、キャッシュの手当が大変だった。日本の銀行を中心に資金集めに奔走し