美術家・作家の赤瀬川原平が10月26日に死去した。赤瀬川といえば、千円札を模した美術作品が通貨及証券模造取締法違反に問われた「千円札裁判」や、パロディイラスト「櫻画報」の掲載誌回収騒動、あるいは街なかにある無用物に着目した路上観察、ベストセラーとなった著書『老人力』(筑摩書房)など、1960年代から近年にいたるまで、とにかく話題には事欠かなかった。 それだけに今回、追悼記事を依頼されて、何をとりあげようか非常に迷ったのだが、ここでは赤瀬川が70年代に仲間たちとともに手がけた「論壇地図」という一連の作品を紹介したい。これは、その時々の言論状況をイラストによって表現したものだ。 70年末に発表されたその最初の作品「現代論壇考」では、海に浮かぶ島などに著名人や組織が配置された。そのなかではたとえば、夫婦岩のごとく大しめ縄で結ばれた大小2つの国会議事堂が並び、それぞれの頂点に時の首相・佐藤栄作と共