地方自治体が厳しい台所事情を補おうと、公共施設で命名権(ネーミングライツ)の導入を進める一方で、企業の応募がないケースが増加している。米国発の経済危機に端を発した景気低迷が逆風となっている。「長期契約なら安定収入につながる」と、地方を救う“切り札”としてもてはやされてきた命名権も、先行きが見えない経済状況の前に窮地に立たされている。(小川寛太) ・日本地図でチェック:募集したのに応募がなかった主な公共施設 国内の命名権は、平成9年ごろから本格導入され始め、公共施設では、15年に食品会社「味の素」が5年分を12億円で東京都などから命名権を購入した「味の素スタジアム」(東京都調布市)が最初の事例として知られる。 命名権のコンサルティングなどを行う「ベイキューブシー」(千葉市)によると、民間も含めた各年別の命名権の契約成立数は、15年は2件だったが、17年には14件と2ケタにまで増え、20