読むまで知らなかったのだけれど古い作品。 そう。著者はなんと、戦前の探偵作家なのでした。 古さゆえというばかりでもなさそうな、独特な雰囲気。 私・・・好きです。なんか馴染みます。 表題作は、なんとも・・・ これはこれは・・・としんみりしました。 小説以外に随筆も収められていて。 こちらも、かなり良いです。妙に共感します。 随筆で良かったのは「停車場狂い」。 著者は旅には出ずに、駅をぶらぶらして旅気分を味わう、 という趣味?道楽?をお持ちだったりするのですが。 その趣味に合う駅について述べていて。 東京駅では駄目だとおっしゃる。その理屈は以下の通り。 人も建物も、「旅」を覚えさせない。あそこにいる人々は、誰も彼もハリ切って忙しそうに見える。その人々の顔には、旅そのものよりも、目的地ばかりが生き生きと輝いている。全くやり切れない。 そして、上野はいい、と続くのですが。 現代の上野駅を観たら、彼