『本当の夜をさがして―都市の明かりは私たちから何を奪ったのか』(ポール・ボガード:著、上原直子:訳/白揚社) 本を読むことができるくらいの街灯や店の明かりというのは、日本の場合どんな場所へ行っても必ずある。夜を照らす人工の光の影響から逃れることは、現代に生きる私たちにとってほぼ不可能といっていい。それは「光害」と呼ばれ、いま世界の夜はどんどん明るくなっているという。そんな中で「本当の夜の闇」を追い求め、旅をしたのが『本当の夜をさがして―都市の明かりは私たちから何を奪ったのか』(上原直子:訳/白揚社)の著者、ポール・ボガード氏だ。 本書は「9、8、7」とカウントダウンしながら章が進む。これはアマチュア天文家ジョン・ボートル氏が考案した夜空の明度を段階的に表すための光害基準「ボートル・スケール」を意識したもので、都心部の空を表す「9」がもっとも明るい単位で数字が少なくなるにつれて暗くなり、「1