読んでいてとにかく息苦しかった。もっと先を読みたいのに辛くて読み進められない。読み終わった後、無意識に大きく息を吐き出した。それくらい疲れた。積文館書店 運営部 松本 愛さん ここまで書くのか、と思った。たいていは読みながら無意識に読者としての立ち位置や、物語とのちょうどいい距離をはかりながら読むが、本作はそれが最後まで定まらなかった。三省堂書店神保町店 大塚 真祐子さん 私はこういう「面白さ」を小説に求めているのだ、と思いました。辛く悲しく、わかりやすい正解もない。だから、誤解を恐れずに言うけれど、「面白い」。書店営業企画室 新井 見枝香さん こんなことがあっていいわけがない。そう心の中で強く憤りながら、ページを繰る指先に重さを感じながら、それでも目が離せない…書店員さんたちもさまざまな戸惑いの声を寄せているが、芦沢央さんの新刊『獏の耳たぶ』(幻冬舎)は、極めて繊細に描かれた感情のうねり