菅野さんは「複線化を条件に踏切をなくす方向なのだろうが、それは許されない」とも語る。 今年3月、地元の小学校で住民対象の説明会が開かれ、「JR奈良線の高速化・複線化第二期事業」と書かれた資料が配布された。平成34年度の開業を目指し、奈良線の一部区間を複線化するというもので、勝手踏切も複線化区間に含まれていた。複線化によって線路幅も広がり、列車本数の増加も予想されている。 現状では、勝手踏切の危険性は増す一方だが、菅野さんは「10年前に『本当の踏切にしてほしい』と要望したのに、JRは『これ以上は踏切を増やせない』と突っぱねた」と憤る。 踏切増やせない理由 《鉄道は、道路と平面交差してはならない》 鉄道に関する「技術基準省令」39条。国土交通省鉄道局によると、この一文によって、「勝手踏切」は正規の踏切にすることはできないのだという。「勝手踏切」を存続させることは、新たに踏切を設置することになり