金融庁が3日公表した報告書で、無職の高齢者夫婦が暮らすには年金だけでは足らず30年間で約2000万円が不足するとした問題で、麻生金融担当相は11日、報告書として受理しない考えを示した。麻生氏は報告書発表直後には「今のうちから考えておかないといかん」と内容を事実上肯定、その後は安倍首相と歩調を合わせて「不適切な表現」としていたのだが、ついに得意の「なかったこと」の世界に踏み込んだわけだ。 報告書の意図が、高齢者の資産をリスクマネーとして金融市場に引き出すことにあることは見やすい。しかし多くの高齢者の生活実態は元本割れのリスクを引き受けられるものなのか。 「預貯金ゼロ世帯」が31・2%との17年の金融広報中央委員会(日銀内に事務局を置く)の調査結果は衝撃を与え、関係機関はその後、「貯蓄ゼロ」とは運用目的の金融資産ゼロという意味(つまりタンス預金は含まれない)とか、18年の数値は改善したなどと火