ボリス・グロイス『デュシャンによるマルクス、あるいは芸術家の2つの身体』2010年 試訳 Boris GROYS, Marx After Duchamp, or The Artist’s Two Bodies, e-flux journal #19 october 2010. -> link 20世紀への変わり目に、芸術は芸術の大量生産という新しい時代へ入った。それ以前は芸術の大量消費の時代だったのだが、我々の過ごす今、状況は変わってしまった。この変化を導いた2つの主要な発展がある。それは第一に、イメージを生産し流通させる新たな技術手段の登場であり、第二に、我々の芸術に関する理解の転換、何が芸術で何が芸術でないかを定めるために私たちが用いる規則の変化である。 まずは、第二の発展から始めよう。今日我々は、芸術作品を、主にひとりの芸術家による手仕事で作られた物としては捉えていない。芸術家の労働