「役立たずな好奇心」に正当化は必要?/山形浩生(評論家兼業サラリーマン) PHP Biz Online 衆知(Voice) 4月10日(水)12時53分配信 ◆「役立たずな知識の有用性」◆ 目新しい時事ネタがないので、少し一般的な話をさせていただこう。最近、コンピュータの歴史を詳細に述べたダイソン『チューリングの大聖堂』(早川書房)なる本を読んだのだ。本自体は非常に詳しく、また人間とマシンとの共生関係について深い理解に基づいたもので、興味ある向きはぜひともお読みあれ。 さて、そのなかにコンピュータ創成の一翼を担った、プリンストン高等研究所なるものが登場する。第二次大戦前夜、ナチスの迫害を逃れてきた数々の超一流科学者や人文学者、経済学者が活躍した研究所で、その成果はすさまじい。アインシュタイン、フォン=ノイマン、パノフスキー、ヴェブレン――所属した学者の名前を見るだけで多くの人はひれ伏す