近所にイズミヤというスーパーがある。関西人なら説明するまでもないだろう。しかし他の地域の人には聞き慣れない名前だろうか。スーパーの名前というのは非常にローカルなもので、すこし場所が変わると途端に通じなくなるからだ。 子供の頃、私は石川県に住んでいたんだが、「ニューサンキュー」というスーパーを全国的なものだと思っていた。しかしあれも地元限定だったようだ。いま思うとへんな名前である。ニューサンキュー。新たなる感謝。分かるようで、よく分からない。 当時、私の母親はあの店を「サンキューさん」と呼んでいた。小学生の私も真似をして、「ちょっとサンキューさん行ってくる!」と元気に家を飛び出していた。ものすごく牧歌的だ。サンキューをさん付けするだけで、ここまでほのぼのしてしまうのか。 東京の国分寺に住んでいた頃、近所に「いなげや」というスーパーがあった。国分寺では名の知れたスーパーのようだったが、私は最後