男性は生きづらいし、女性も生きづらい。もちろんLGBTQだって生きづらいだろう。 しかし大事なのはその後だ。みんなが「自分たちだけが生きづらい」と思ってしまっている。いまや性自認グループは政治信条から異なる集団と化しつつあり、互いを罵り合う分断も激化した。特定の性別がこの世からいなくなればと、憎悪を募らせる人もいる。 こうした分断をもたらしているのが、「限りある地位財」という思い込みだ。欠乏を感じると、人は攻撃的になる。 キングス・カレッジ・ロンドンの上級講師である社会科学者のアリス・エヴァンスは、世界各国を巡りながらジェンダーに関する研究を続けている。世界で男女の政治的分断が深まっているのはなぜなのか? 国や地域によって経済に格差があるように、ジェンダー平等の進退に違いがあるのはなぜ? 英誌「ニュー・ステイツマン」が取材した。 男性のほうが「生きづらさ」を感じている? 男女間の政治的分断