オスタップ・スリヴィンスキー作、ロバート キャンベル訳著『戦争語彙集』(岩波書店、2023年)を読む。 戦時下にある、ウクライナの都市リヴィウの人々の、生の「ことば」を集めたもの。後半に、キャンベル氏が現地に渡って、実際に街を歩き、ことばを残した人々へインタビューを行った手記が付けられている。 無人機を何機撃墜、ミサイルが何発着弾という、新聞で読む戦局の報道。 何人が死亡、何人が負傷という、ニュースで見る被害状況。 戦争というものを、私たちはそういった破壊の情報でしか、どうしても捉えられない。 しかしそのような状況の背後に、戦時下に生きている人たちの、一見普通の生活があることは、なかなか想像できない。 いや、何十年も前の戦争の手記であるならば読んだことがある。だが、理解はすることはできても、その本質をどれだけ理解できていたのだろうと、いまこの本を読むと疑ってしまう自分がいる。それは、ことば