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ブックマーク / kanzanshi.seesaa.net (4)

  • 戦争語彙集

    オスタップ・スリヴィンスキー作、ロバート キャンベル訳著『戦争語彙集』(岩波書店、2023年)を読む。 戦時下にある、ウクライナの都市リヴィウの人々の、生の「ことば」を集めたもの。後半に、キャンベル氏が現地に渡って、実際に街を歩き、ことばを残した人々へインタビューを行った手記が付けられている。 無人機を何機撃墜、ミサイルが何発着弾という、新聞で読む戦局の報道。 何人が死亡、何人が負傷という、ニュースで見る被害状況。 戦争というものを、私たちはそういった破壊の情報でしか、どうしても捉えられない。 しかしそのような状況の背後に、戦時下に生きている人たちの、一見普通の生活があることは、なかなか想像できない。 いや、何十年も前の戦争の手記であるならば読んだことがある。だが、理解はすることはできても、その質をどれだけ理解できていたのだろうと、いまこのを読むと疑ってしまう自分がいる。それは、ことば

    egamiday2009
    egamiday2009 2024/01/12
    “そこには戦火の煙や瓦礫の山はない。日常の生活にまぎれこんだ、何気ない「違和感」が写り込んでいるだけだ。 しかしその違和感が、戦争をリアルにイメージさせる。”
  • 「みを(miwo)」の衝撃

    ある原稿を書いていたのであるが、字数の関係で割愛した文章を、以下に掲載しておく。 --- 2021年8月30日、つまりこの原稿を書き始めるわずか十日前、日古典学の世界ではひとつの画期的な事件が起こった。スマホ版アプリの、AIくずし字認識アプリ「みを(miwo)」がリリースされたのである。開発者はもと人文学オープンデータ共同利用センターのカラーヌワット・タリン氏で、同センターがこれまで開発・蓄積してきた技術の結晶といっても過言ではない。詳しくはサイトを見てほしいが、何が画期的であるかを、できるだけ簡単に説明しよう。 近代以前の日において、一般的に使われていた「くずし字」と呼ばれる草書体の文字列を、AI機械学習によって読み取る技術は、これまでも開発されてきた。「みを」の何がすごいかといえば、それをスマホで実現できたことである。たとえば、ここに江戸時代の版のコピーがある。「みを」を立ち上

  • 書誌学の授業

    2ヶ月近くぶりに書きます。 5月末に中世文学会のシンポ、6月上旬に九州大学国語国文学会の講演、と連続したこともあって、その間ほとんどその準備に費やしていた感じでした。 ところで、今年は司書課程関連の授業で、古典書誌学の講義をすることになった。 その準備をしていて感じたことがあるので、今日はそのことを記しておこう。 古典書誌学を解説するときは、当然ながら、図版や写真が多くないと伝わらない。印刷の歴史をいうときに、「百万頭陀羅尼」とはどんなものか、「嵯峨」とはどんなものか、「列帖装」とはどんなものか、「銅版」とはどんなものか、図像がないと分からない。 これまでは、それらの写真なりコピーなりを、紙のレジュメに貼り付けていた。当然、モノクロである。 さて、コロナでオンラインでの授業が当たり前となり、教材は紙のレジュメではなく、ほぼ100%、wordのデータかPDFで配ることになった。 さらにここ

  • AJLS2020参加記

    年末の俳文学会東京例会、九州近世文学研究会の連チャン発表が終わると、今度は正月を挟んでこのAJLSの発表準備に追われた。

    AJLS2020参加記
    egamiday2009
    egamiday2009 2020/02/09
    “日本では、すぐにでも論文になるような手堅い発表が求められるのに対し、こちらは、着想の意義・意味をプレゼンする、という感じだろうか。まずは他人の意見などを聞いて、それを論文に磨き上げていく”
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