じっと壁を見つめる 「(自分は)ハワイの王」 妄想と現実の世界を漂う 望まれる再審開始 1966年に発生した、いわゆる「袴田事件」から半世紀。同年に逮捕され、その後死刑判決を受けた袴田巌さん(80)は2014年3月に釈放されました。びっしりと書かれたノートの文字。口をついて出る妄想の世界。カメラマンとして取材を続けながら感じたのは、権力が人の心を壊しうるという恐怖感でした。ファインダー越しに見つめた袴田さんの「内なる世界」をご紹介したいと思います。(朝日新聞映像報道部・時津剛) じっと壁を見つめる 私が初めて袴田さんに会ったのは、2014年3月の釈放から1年半余り経った2015年12月。ご本人、そして同居する姉のひで子さん(83)をこれまでに取材した静岡総局の記者と共に、秋晴れの日、浜松市のご自宅を訪ねました。 せんべいを手土産に(その時、袴田さんが甘党とは知らず)、東京から浜松まで、袴田
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