足立市場の「仲卸売場」。広さは小さいものの、かつての築地魚河岸と瓜二つの風情。 君は「千住の魚河岸」を知っているか? 東京の「魚河岸(うおがし)」と言えば、かつては築地、今は豊洲が思い浮かぶが、実を言うと都内にはもう一つ魚河岸がある。 東京都中央卸売市場の「足立市場(あだちしじょう)」。都内で唯一の水産物専門卸売市場で、別名「千住(せんじゅ)の魚河岸」とも呼ばれる。扱っているのは「大物(おおもの)」と呼ばれるマグロやカジキ、アジやサバなどの「鮮魚」、寿司ネタの「特種物(とくしゅもの)」、そして干物等の「塩干物(えんかんぶつ)」など水産物全般だ。 隅田川と国道4号線(日光街道)に面した足立市場の広さは、豊洲市場の10分の1程度の4万2000平方メートル。都内城北地区や千葉北部、埼玉南部などへ水産物を供給している。 足立市場の前身は、江戸幕府の御用市場。都の中央卸売市場となったのは戦時中の昭和