台湾人の使う中国語の中に日本語や、あるいはそのまま台湾語になった日本語が出てくることがその大きな理由だ。 たとえば、「李先生」「陳小姐」の代わりに「李san」「陳san」と呼んでも良い。「さん=san」は漢字で「桑」と書く。発音が’sang’だからだ。「李桑」と書いてあったら「李さん」と言う意味だ。「先生」「小姐」より「さん・san」で呼んであげると、台湾人との親密さが増す。 その応用で、「歐吉桑」が「おじさん=ou ji sang」、「歐巴桑」が「おばさん=ou ba sang」となる。だから、「おじさん」も「おばさん」も台湾の日常会話に残っている。 台湾人の日本語学習比率は他の外国より高いが、決して皆が日本語を話せるわけではない。それでも日本人が何となく台湾人の話す言葉に親近感を覚えるのは、台湾の中国語、台湾語(閩南語)の中に、過去の日台の歴史と現在の交流を通して定着した日本語が混じっ
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