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阿部嘉昭ファンサイト: 『敷居の住人』志村貴子の時間・空間的感覚(津金 啓太)
【解題】 津金啓太君の『敷居の住人』論は、マンガという媒質にとっての物語をすごく緻密に分析している... 【解題】 津金啓太君の『敷居の住人』論は、マンガという媒質にとっての物語をすごく緻密に分析している。志村貴子の作品は『放蕩息子』など他作品を読んだことはあるが、この『敷居の住人』は僕自身、未読だ。だが、津金君の分析は、この作品の物語性の「風合い」を着実に伝えてくる。 「ヤマをつくっておいてオチがない」「はぐらかされる」「起承転結の《結》部がなく、《起承転》《起承転》・・の連鎖として進行する」「しかもそれが淡々としている」「焦らされ感は実はある」――およそこれらのように略言できるだろう。 この「はぐらかし」と相即しているのが、津金君が指摘する志村貴子のマンガ法則である空間飛躍だろう。津金君は(たぶん映画やTVドラマを例にとって)、空間の変化は、通常、変化した場所のロング構図→その内部空間の手順で示される、と正しく指摘する。ところが志村の個性は、「黒味」コマに科白を流し、外部化を伴わない、「(
2009/11/09 リンク