レヴィナスの時間論 - 内田樹の研究室

『福音と世界』という冊子に標記のような文を寄せた。あまりふつうの人の眼には止まらないような媒体なので、ここに再録しておく。 レヴィナスの時間論 最初は「レヴィナスの終末論」というお題を頂いた。原稿を引き受けたのは昨年の12月である。そのときには「あのこと」を書こうというアイディアがあったのだと思う（そうでなければ引き受けない）。だが、１０ヶ月経って、いざ締め切り間際になってみると、そのとき何を書く気で引き受けたのかが思い出せない。とりあえず、レヴィナスの時間の観念についてなら少し書けそうな気がするので、それを書こうと思う。それはユダヤ教の終末論的思考にどこかで通底しているはずである。 エマニュエル・レヴィナス（１９０６－９５）の戦後すぐの著作に『時間と他者』がある。短い講演録だが、正直言うと、ほとんど意味不明のテクストである。 終戦直後に「ホロコースト･サヴァイヴァー」としてのレヴィナスの

[lackofxx]

“「語義をペンディングしたまま読み進むこと」、これも哲学者が私たちに要求する困難な作業のひとつだ。” 内田先生のレヴィナスに関する文章はすてきだといつも思う。

[nekonyantaro]

ふぅ～。

[hharunaga]

“エリヤのための空席は、そこがいつ預言者によって占められるか予見不能で…空間的には無である。けれども、それは時間の中では過去の記憶を活性化し、未来への希望を賦活する生成の場となる”

[Dominique-Magne]

ﾊｲﾃﾞｯｶﾞｰのﾅﾁｽ入党とﾚｳﾞｨﾅｽか。日本に垂れ込めた黒い雲を想う

[inside-rivers]

「哲学者は歴史の風雪に堪えて、さまざまなものを失い、人間の無知や邪悪さに深く幻滅し傷つけられ、それでもなお『人間的叡智』と呼ぶに足りるもの、後世に伝えるべき知見を見出した人間のことである。」

[ebmgsd1235]

内田先生の専門のお話。それは認識（併合）や脱自（埋没）ではない、他者との根源的関係とは宙吊りされたままの、しかし「この絶対的な未決と隔絶は時間のうちでひとつの希望に転化する」、沁みるなあ。不在のメシア

[D-S-C-H]

オーソリティ;“レヴィナスの時間論” via @digg

[shiraber]

“の音を聴いているときに「わ」はもう消えており、「し」はまだ発語されていない。「わ」を引き止め、「し」を先取りしたときにはじめて「私」という語は聴き取られる。発語を理解するというのは、そのような意味で

[takahiro_kihara]

哲学者の時間論。"１０ヶ月経っていざ締め切り間際になってみるとそのとき何を書く気で引き受けたのかが思い出せない。"その"あのこと"が何だったのか、気にならないのかなぁ？外野の僕はすごく気になる。

[KatagiriSo]

読解の参考に

[osaan]

 レヴィナスについて語るのは大きな「不幸」だ、と個人的には考えているが……そういう時なのかもしれん。

[mhkj2]

レヴィナスをもう一度読みます。ただすこし疑問が。「エリヤのための空席」が鬼神のための席にならない理路はレヴィナスにあるのでしょうか？「まれびと」が必ずしも善神とは限らないと古来日本人は考えていた様です

[rodori]

「時間とは孤立した単独の主体にかかわることがらではなく、主体と他者の関係そのものである」

[karatte]

“最初の2頁だけについての注解になってしまったが、それでもレヴィナスの時間論が観照的思弁ではなく、切れば血が出る実存的経験から滲出してきたのだという事実を伝えることができるならば私としては十分”