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ハタチの、バイブル「アデン、アラビア」
やけどするような本がある。 手に触れたところから、熱が、震えが侵入し、読み手のこころと化学反応を起... やけどするような本がある。 手に触れたところから、熱が、震えが侵入し、読み手のこころと化学反応を起こす。読む前から何が書いてあるのかわかり、それはまさしく自分のこと、自分が言いたいことなんだと驚愕しながらページをめくる。熱に浮かされたように読みきると、主人公と同じことをはじめる――すなわち、旅に出るのだ。 なんてね。 そういう本にであうには、一種の技能と、それから若さが必要だ。目利きとしての腕はみがいているものの、わたしにとっては「若さ」が足りない。少なくとも二十年前でないと効果を及ぼさない本だね。わたしの場合は「地上の糧」だった。ジッドを読んで発火したときを振り返りつつ「アデン」を読んだので、懐かしいような切なさにひたった。 いまどきの若者は何に発火するのだろうか?ケルアックじゃあるまいし、ライ麦?深夜特急?藤原新也?古いか。だが、この新訳があらたな火打石になるかもしれない。あまりにも有
2009/01/09 リンク