朝日新聞デジタル：俳優・西村雅彦を解剖する

西村雅彦という俳優が、ずっと好きだった。時空を支配する存在感と自在にセリフを操る抜群の言語感覚。学生時代、小さな劇団で脚本・演出を担当していた私は、この人が主演の芝居をつくるのが一つの夢だった。だが、私は新聞記者になった。そして、２年前、ご本人に取材する機会があった。知的で繊細な語り口のなかにのぞく、ひょうひょうとした素顔。今度は、西村雅彦という人間にほれこんだ。そして、知りたくなった。この人はどうやって演技をつくっているのか。この人の内面はどうなっているのか。 １月１６日午後４時半、西村さん主演の２人芝居「９０ミニッツ」（作・演出＝三谷幸喜）を公演中の大阪で、芝居の本番終了後にインタビューした。 「第三者的に、神のように、自分自身を俯瞰（ふかん）している状態のときは、後から『よい芝居だった』といわれることが多いですね。高いところから、舞台上の自分や相手役、客席の観客たちを見ている。この自

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「人というものはナルシストでないとだめなんですよ。そうでないと心が揺れすぎてしまう」