「ニーチェ」フェアをしていた際、人文書売場には珍しく、すらりとした女子高生が「わぁ、ニーチェだ♥」（絶対「♥」がつく感じであった）といって嬉々としてフェアを見ているのである。 綺麗な女子高生が興味を持っていることに感動し、私は「やっている甲斐があったなあ」と思ったのである。 それは学生の時に大阪の本屋で書棚をぼんやり眺めていると、後ろからコツコツとヒールの音が聞こえ、フゥーとため息を吐いたあと、おもむろにサルトルの『嘔吐』を取って、またコツコツとカウンターに持っていった女性を見た際と同じような、意外性と美

[sett-4]

学生の時に大阪の本屋で書棚をぼんやり眺めていると、後ろからコツコツとヒールの音が聞こえ、フゥーとため息を吐いたあと、おもむろにサルトルの『嘔吐』を取って、またコツコツとカウンターに持っていった女性を見た際と同じような、意外性と美しさに見る感動であったのだ。