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故郷は遠きにありて---室生犀星
ふるさとは遠きにありて---室生犀星 ふるさとは遠きにありて思ふもの そして悲しくうたふもの よしや う... ふるさとは遠きにありて---室生犀星 ふるさとは遠きにありて思ふもの そして悲しくうたふもの よしや うらぶれて異土の乞食となるとても 帰るところにあるまじや ひとり都のゆふぐれに ふるさとおもひ涙ぐむ そのこころもて 遠きみやこにかへらばや 遠きみやこにかへらばや [小景異情ーその二] より 私が旧制富山高校に入学したのは昭和22年であった。終戦後の廃墟の中、ふるさと岐阜を 離れたのはわずかに17歳であったから、この犀星の詩は、多感な少年であった私の心に深い 感銘を与えたものだった。 室生犀星は石川県金沢の出身で、市内を流れる犀川の近くで生まれた。その筆名「犀星」は たぶんこの犀川から得たのであろう。21歳の時、文人たらんとの思いを押さえがたく、やみ くもに故郷を捨てて東京に出たといわれる。貧困のどん底の中で詩作を続け、食い詰めると金 沢に帰ってき
2015/01/23 リンク