新世界読書放浪 |1945年 鎮南浦の冬を越えて

回想録となっているのだけど、これは小説じゃないのかな。著者は児童文学畑の人らしく、妙に教条的な台詞も多い。形式的にはアメリカで闘病していた姉が書いた回想録を妹である著者がまとめたということになっているのだが、亡くなったお姉さんの元文とはかなり様相が違う著者の世界になっているのはなかろうか。最初は私家版で出したのを改訂したとのことだが、引き揚げ当時6歳であった著者にとっては当時の記憶は無きに等しいものではあろう。アメリカ在住の姉が朝鮮引き揚げの回想録を残したのは、余命のことや、当時助けられた朝鮮人からの連絡などもあったのだろうが、「ヨーコの話」焚書事件とは関係なかったのかな。なぜか最後は反原発アジ。