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第3幕『勿忘奏楽』その1: プレイレポートbyたきのはら
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第3幕『勿忘奏楽』その1: プレイレポートbyたきのはら
海沿いをごとごとと列車は走ってゆく。静岡に入ってもうずいぶん来ただろうか。 浅い春か冬の名残りか、... 海沿いをごとごとと列車は走ってゆく。静岡に入ってもうずいぶん来ただろうか。 浅い春か冬の名残りか、傾きかけた日の中で、打ち寄せる波頭は鈍い灰色にけぶっている。 「このあたりは、初めてですか」 突然、隣から声がかかった。見ると、さっき乗り合わせた品のいい初老の紳士である。 「いや、何、この変哲もない景色を熱心に眺めておいでだったから」 自分はこのあたりの生まれなのだと紳士は言った。言葉を交わすうちになんとも好もしい人物であるように思えたので、つい、劇作の種を探す旅なのだということを打ち明けた。そうすると紳士は俄然目を輝かせ、 「でしたらなかなか面白い話を知っていますよ」 と言った。 このまましばらく行った先に垂水(たるみ)の浦と呼ばれる場所があるという。そこは岩山が海岸近くまで迫り出し、岩の洞がいくつもあり、舟を出して海から眺めるとなかなかの絶景なのだとか。 「その洞の中にはこのあたりの漁師