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なにを「ご理解いただきたい」のか? - [間歇日記]世界Aの始末書
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五十年近くこの国で生きてきておれが学んだことのひとつに、「理解」という言葉を主にどのように用いる... 五十年近くこの国で生きてきておれが学んだことのひとつに、「理解」という言葉を主にどのように用いるかで、日本人はおおまかに二種類に分類できるということがある。 たとえば、「ご理解いただきたい」と口にする場合、日本人の多数派は、「私はこんなにがんばっていて、私にもいろいろ事情があるのだから、事実関係は二の次にして、私の立場に身を置き、あたかも私になったかのように、私の気持ちをわかって私を許してほしい」という意味で言っている。とくに日本の政治家は、十中八九、こういう意味で「理解」を使う。 だが、日本人の少数派(おれ自身はこちらに属するようだ)が「ご理解いただきたい」と言う場合、「2足す2は4であり、三角形の内角の和は180度であり、エネルギーは質量と光速の自乗との積で表され、虚数単位と円周率の積を指数としネイピア数を底とした冪乗に1を足すと0に等しくなる云々……という事実を把握してほしい」という