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『「シェエラザード」ー短篇集「女のいない男たち」』
シェエラザードとは、アラビアンナイト「千夜一夜物語」の語り手であるから、浅黒い肌ながら豊満なまだ... シェエラザードとは、アラビアンナイト「千夜一夜物語」の語り手であるから、浅黒い肌ながら豊満なまだ年若い美女を思う。ところが、この短編のシェエラザードは肉体的には似ても似つかない35歳の女である。35歳の女というのは微妙で、体型を保っている者もいるが、この小説の主人公(羽原:31歳)がシェエラザードと名付けた女は、小学生の子供2人いること相応の体型-つまりもう若さを寸分もとどめていない体型の女である。羽原が「シェエラザード」と名付けたのは、週2回の性交の後、「千夜一夜物語」のシェエラザードよろしく不思議な話を必ず聞かせてくれるからだ。 中学生の頃、「千夜一夜物語」(バートン版―英語からの重訳である)をむさぼり読んだ。エロチックな話によくわからないながらも興奮して読んだのである。一般的には、「シンドバッド」や「アラジンと魔法のランプ」(これは原典には存在しない)など有名だが、その中のごく一部に