【追悼・木内幸男さん】リポビタンＤを水代わりに…８４年夏決勝 取手二ＶＳＰＬ〈４〉 - スポーツ報知

静かな波の音が、熱闘に疲れた心身を癒やしていく。 ８４年８月１４日。甲子園では２回戦４試合が行われたこの日。取手二ナインは聖地から２５キロ離れた神戸市内の須磨海岸にいた。関西有数の人気海水浴場である。 ＴＢＳの女子アナが同行取材してくれた。「海、入らないんですか？ 最高ですよ」。みんなで手足をつかんで、せーの、ドボン！ 誰もが笑顔になった。 だが、甲子園期間中の海水浴は型破りだ。事故があったら誰が責任を取るのか。 言い出しっぺは監督の木内幸男だった。初戦の相手は和歌山の強豪・箕島。試合前夜、告げた。 「勝ったら海水浴に連れて行くぞ～」 メンバーは狂喜乱舞した。 木内「箕島はＰＬの次に下馬評の高いチームだから。事前に海岸へ下見にも行ったよ。茨城の海は冷たいけど、瀬戸内海だから温かいの。気分転換だね」 箕島戦は７回を終え、０―３の劣勢。だが木内は笑顔で訴えた。 「明日、海に行くべ！」 ８回、一