偉大なる通俗作家としての乱歩－－そのエロティシズムの構造 - jun-jun1965の日記

偉大なる通俗作家としての乱歩－－そのエロティシズムの構造 小谷野敦 江戸川乱歩・本名平井太郎は、一八九四年の生まれである。このことは、二十代がまるごと、僅か十五年の大正時代に収まるということを意味する。芥川龍之介は二歳年長、久米正雄は三つ、室生犀星は五つ上だが、この世代が、大正の文化に触れながら青年期を送った世代であることに注意したいと思う。大正期こそは、昭和につながる様々な「文化」を醸成した時代だったからである。和洋折衷の「アッパー・ミドルクラス」が形成されたのも、この時代である。久米は、大正五年末に夏目漱石が没した後、その長女筆子に「恋」をするが、結局筆子は松岡譲と結婚し、久米は失恋する。いわゆる「破船」事件だが、その「恋」に、良家の令嬢というものへの憧れがあったことは、当時から友人の菊池寛などに指摘されていた。同じ頃、年齢的にはまだ二十歳で、『地上』一作で天才と呼ばれた島田清次郎は、

[nessko]

映画「黒蜥蜴」も、京マチ子のが忘れられてるので、あれも再評価して欲しい、美輪明宏のはたぶん三島由紀夫の戯曲の映画化で、京マチ子のほうが小学校の図書室で読んだポプラ社の乱歩のテイストがあるのよね。

[haha64]

令嬢が出てこない「孤島の鬼」とかに触れないのは都合が悪いからかな。乱歩的な「猟奇」の要素に無理やり社会階層の話を絡めてる。乱歩は中流出身のインテリで、上流階級に怨恨持つほど極貧の青年期は送ってないよ。

[sateso350]

小谷野敦氏。読み応えがある。

[bt-shouichi]

“醜い男、貧しい男たちの、美しい上流の女たちへの、怨恨を込めた憧憬こそが、乱歩小説の中核にあるものなのだ。俗悪で、しかし魅惑的な世界が、江戸川乱歩の本領なのである”

[NAPORIN]

昨年三重県の乱歩博物館にいって遊んできた、面白かった