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第二次世界大戦末期、ユダヤ人の財産を守った小役人たちの意地と誇りを見よ! 『黄金列車』 | カドブン
書評家・作家・専門家が《新刊》をご紹介! 本選びにお役立てください。 (評者:杉江松恋 / 書評家) ... 書評家・作家・専門家が《新刊》をご紹介! 本選びにお役立てください。 (評者:杉江松恋 / 書評家) 一口で言うなら、宮仕えの土性っ骨ってやつだ。 佐藤亜紀『黄金列車』の舞台は第二次世界大戦末期のハンガリーである。東部戦線からのソ連軍侵攻に備えて同国は、経済資源の多くを貨物列車によって国外へと退避させた。後に「黄金列車」と呼ばれるのはその中でも異質な存在で、ユダヤ人からの没収財産を移送する目的で秘密裡に運行計画が立てられた。指揮を執ったのはユダヤ資産管理委員会委員長であるトルディ・アールパードだが、作者は大蔵省官吏のエレメル・バログを視点人物として置いている。第一章の章題にもなっている一九四四年十二月十六日はこの黄金列車が動き出した日付だが、小説は「バログが妻を亡くしたのは、七月の初めのことだった」という文章で書きだされており、彼が亡き妻・カタリンと過ごした日々の回想が現在の出来事と並走す
2022/09/04 リンク