シン・ネトゲ戦記第二十五話「はじまりの日」｜暇な空白

ここから第三部 本文それは、新社屋に引っ越しが完了した最初の日だったと思う。前の社屋は、後に副社長になる相川雄太はインタビューか何かで「豚小屋」だと呼んでいたが、家に帰って寝てる時間以外の半年の殆どを過ごしたのだから愛着もあった。 新社屋は六本木交差点のそばで、きちんとしたオフィスビルだったので出社したときにワクワクしたのを覚えている。朝方になると出社してきた谷直史さんに、新人として谷直史さんの友人だとかいう人を紹介され、「水原くんが倒れたり新しいプロジェクトに行ったりできるように」と、引き継ぎを頼まれた。 何日かかかってもいいと言われたが、夕方くらいに終わった。彼は馬鹿正直にマスタや資料に注釈を入れて、誰にでも引き継げるように用意をした。用意が完了したと告げると、谷直史さんが「今後のグラニについての幹部会議をするから幹部だけ残って、それ以外は今日はもう退社するように」と言った。 幹部とし

[nunux]

「さっき言ったのは嘘だ。実は水原くんには会社を辞めてもらおうと思う。俺は、俺に一度でも逆らった人間を会社に残したくないと思った。」